第10分科会

自己決定権の未来~国際社会の潮流と日本の現状~

担当:全国青年司法書士協議会 憲法委員会

開催趣旨

自己決定権とは、個人が一定の私的事項について権力による介入・干渉を受けずに自ら決定することができる権利といわれています。自己決定権は、自由と平等を本質とする民主主義と密接に関連し、憲法第13条に定める幸福追求権の一部として、憲法上の保障が及ぶと解されています。

世界人権宣言(1948)は、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と定めました。また、個人の人権を最大限に確保するためには、個人対国家という軸だけではなく、個人が属する一定の集団的な権利の土台が必要であるということで、国連憲章の下で「人民(peoples)」の権利が確立されます。そして、1996年に国連総会にて採択された「国際人権規約」第1条は、「すべての人民は自己決定の権利を有する」と規定しました。さらに、「国際人権規約・自由権規約」第27条においては、民族的・宗教的・言語的少数者を設定して、その人権を明記し、1992年「マイノリティ権利国連宣言」、2007年には「先住民族の権利国連宣言」でその権利を体系化しました。

20世紀以降、国際社会は、帝国主義による弱肉強食の論理から、個人の尊重、そして脱暴力へと転換し、国際人権法等もこれに連動してきました。しかし、現代の日本社会に目を向ければ、自己決定権が侵害されている現象にあふれています。生活保護の引き下げにより人格的生存が脅かされている人びと、自らが望むパートナーと婚姻関係を結ぶことができない性的マイノリティの方々、県民投票で辺野古新基地建設反対の圧倒的民意を示したにもかかわらず埋め立て工事が強行されている沖縄の現状など枚挙にいとまがありません。これらは、人間に共通して認められるべき自己決定権が奪われ、耐え難い苦痛を強いられているという民主主義及び人権の問題に他なりません。

本分科会においては、国際的な視点から、日本の現状と課題、特に、沖縄の事例から自己決定権について理解を深めます。そして、研修テーマである「ほんたうのさいはひ」は、自己決定権が確立してこそ現実のものになるということを共有できる場にしたいと思います。

市民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする司法書士の存在意義をかけ、本分科会を開催いたします。

研修内容

  • 第1部 講演 自己決定権の国際的潮流

    【写真】上村英明氏(恵泉女学園大学教授・市民外交センター共同代表)

    プロフィール
    • 上村 英明(うえむら ひであき)
    • 現在:恵泉女学園大学教授、市民外交センター共同代表
    • 1956年:熊本市生まれ
    • 1979年:慶應大学法学部卒業
    • 1981年:早稲田大学大学院経済学研究科修了

    専門は、国際人権法・先住民族の権利、平和学、植民地論
    アイヌ民族・琉球民族の権利保障問題に取り組み、2015年には故翁長雄志前沖縄県知事と国連人権理事会に参加
    著書・論文多数

  • 第2部 沖縄の事例から自己決定権を考える(憲法委員会)
  • 第3部 ディスカッション

  • 研修内容は、一部変更される可能性がありますので、ご了承ください。

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